11月4日
昼下がりのバス停、秋風が私の髪の毛を揺らす。髪の毛は決して艶があるわけでもなく、パサついていて顔に触れるたびこそばゆい。
冷たい風だ。私の体温と胸の内を冷やしていく。
心地よい。
秋風は、もう迫っている冬の訪れを知らせる。
実は午後から仕事を休んだ。生命保険の見直しが理由だったが、働く気分ではなかった今日、ちょうどいい都合だった。
バスに乗り、あたりを見渡すと、定時上がりの日に乗る車内とはメンバーが全く違う。ご高齢の方が多く、見慣れてしまったが子供は絶滅危惧種なのかと改めて思う。昼間のバスは日本を象徴していた。
車内では無心で携帯のゲームをした。何も考えたくなかった。
保険の見直しのため窓口まで行き、手続きは呆気なく終了した。解約金が降りることを知り、少し嬉しい。
まとまったお金が急遽入り、用途を考えたが一瞬で思いついた。
彼のために使おう。
彼に何かあったときのために、貯めておこう。来年から同棲も始まる。彼の笑顔のため、私は、彼の笑顔がたまらなく好きだ。
これは見返りでもなく、彼に尽くしたいという『思い』だ。
まだ彼とは昨日から連絡もまともにしていない。
別に気にしない。今はむきになっているが、どうせ私はこれからも、彼のことが好きだから。
家に帰って、いつも母親がやっている家事を全てこなした。なかなかきつい。一人親はかなりの根性がないとやっていけないな。
皿洗い1回しただけで、いつもより手が固くなった気がした。保湿、しないと。
時間を流して。前だけを向いて。
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